福岡県防災ハンドブック
福岡県防災ハンドブックには、災害に関する基本的な知識に加え、災害時の留意点や水・食料の備蓄方法など「自助」「共助」に役立つさまざまなノウハウを掲載しています。
また、過去の災害の記憶を日々の防災につなげていただくため、近年発生した大規模災害の記録や体験談を「教訓編」としてまとめています。
防災の基礎を学ぶ
災害による被害を減らすためには、災害を正しく理解し、日頃から適切に備えることが重要です。この基礎対策編では、まず、各家庭で取り組みたい基本的な防災・減災対策について紹介しています。そのうえで、地震や風水害など個別の災害ごとに、発生の仕組みなどに関する「基礎知識」、発生時に身を守るための「対応」について説明しています。
災害に備えた備蓄
大規模災害が発生すると、水や電気などのライフラインは停止し、流通機能もマヒします。このような事態を想定し、食料や水、生活用品など、災害時に必要になる物を普段から備えておく必要があります。ただし、どのような物品を、どれだけ備えるかは、家族構成や所属する組織によっても異なってきます。この備蓄対策編では、家庭や組織における備蓄の考え方や基本的な備蓄品の例を紹介します。
要配慮者の防災対策
「要配慮者」とは、病気や障がいなどで災害から身を守ることに何らかのハンディキャップがあり、周囲の支援が必要になる人たちです。災害が発生すると、こうした人たちに被害が集中する傾向があります。要配慮者の被害を最小限にくい止めるためには、家族や地域住民による積極的な支援が欠かせません。地域全体で協力して、要配慮者を災害から守りましょう。
避難生活
大規模災害では、ライフラインの停止などにより、避難生活が長期化する可能性があります。自宅が危険な状態になった場合には指定避難所に避難しますが、車の中で寝泊まりしたり(車中泊避難)、被災を免れた自宅で避難生活を送ったりすることもあります(在宅避難)。避難生活は不自由で困難なものです。1日も早く災害前の生活を取り戻すために、被災者同士で積極的に助け合いましょう。
勤務先での防災対策
大規模災害は、事業所の経営にも大きな損害を与えます。災害による損害を最小限に抑え、被災後も事業を継続することは、従業員の雇用を守り、地域社会の復興を早めることにつながります。日頃から職場の安全対策に取り組み、被災後の事業継続計画(BCP)を立てておくことが重要です。従業員の生命を守り、事業と組織を守るために、事業所をあげて防災・減災対策に取り組みましょう。
都市型災害対策
人口が集中する都市部で大規模災害が発生すると、被害が甚大となるおそれがあります。電気・通信などのライフラインの停止や交通機関の乱れは、社会生活にも大きな影響を与えます。通勤圏である都市近郊にベッドタウンが作られたことで、発災時には多数の帰宅困難者が発生する可能性があるなど、都市特有の防災上の課題も存在します。都市型災害に備える正しい知識を身につけましょう。
都市型震災の危険
人口の集中する都市部で大規模地震が発生すると、多くの人的被害・建物被害の発生が予想されるばかりでなく、電気・ガス・水道などのライフライン、鉄道や道路などの交通網に甚大な被害をもたらし、社会生活が大きく混乱するおそれがあります。
都市型火災の危険
都市部には、高層ビルや地下街など多くの人が集まる場所が多いだけでなく、古くからの木造住宅密集地も残っています。このような場所では、火災発生時の対応が難しくなるおそれがあります。
都市型水害の危険
都市の排水能力を超えた大雨が降った場合、地下街への雨水の流入や下水道の氾濫などの「都市型水害」を引き起こすおそれがあります。
帰宅困難者対策
都市部では通勤、通学、買い物客が多く、大規模な災害が発生した場合、帰宅が困難となる方々が多く発生します。その場合、電車などが復旧するまでは不用意に動かず、ラジオなどで正確な情報を把握しながら、勤務先や学校、一時滞在施設(帰宅困難者を一時的に受け入れる施設)などの安全な場所で待機し、むやみに移動を開始しないようにしましょう。
過去の災害から学ぶ(教訓編)
近年、県内では、平成29年7月九州北部豪雨や平成28年(2016年)熊本地震などの大規模災害による被害が相次いで発生しています。また、過去には、西日本大水害や福岡県西方沖地震などの災害も経験しました。
この教訓編では、これまでに県内で発生した主な災害の概要を振り返るとともに、平成29年7月九州北部豪雨、平成28年(2016年)熊本地震、平成30年7月豪雨、大阪府北部地震、平成30年北海道胆振東部地震の被災者の体験談を紹介しています。過去の災害を教訓に、災害の危険は常に身近に潜んでいること、災害による被害を最小限に抑えるためには日頃からの備えが重要であることをしっかりと認識しましょう。
平成 11 年(1999 年)福岡水害
平成 11 年(1999 年)6月 23 日から7月 3 日にかけて、西日本では活発化した梅雨前線による豪雨災害が発生しました。6月 29 日、福岡(福岡市)では1時間最大雨量 79.5 ミリの非常に激しい雨が降り、福岡県内では浸水等による死者2人、床上浸水 1,273棟、床下浸水 4,890 棟などの被害が発生しました。
被害の特徴は、福岡市内を流れる御笠川が氾濫するなど、市街部が大規模に浸水したことです。博多駅周辺では1メートル程度の浸水被害が発生、道路、JR、市営地下鉄の一部が運休するなど、市民生活に大きな打撃を与えました。地下街に濁流が流れ込み、取り残された従業員1人が亡くなりました。都市部の水害対策、特に地下空間の浸水対策という新たな課題を提起した水害でした。
平成 24 年7月 九州北部豪雨
平成 24 年(2012 年)7月 11 日から 14 日にかけて、九州北部地方に停滞した梅雨前線の影響により、福岡県、熊本県、大分県、佐賀県各地で記録的な豪雨となりました。この大雨によって河川の氾濫や土石流が各所で発生し、福岡県、熊本県、大分県では、死者 30 人、行方不明者2人を数えました。佐賀県を含めた4県で損壊や浸水など 1 万棟を超える住家被害があったほか、道路損壊、農業被害、停電被害、交通障害等も多数発生。気象庁は、この大雨を「平成 24 年 7 月九州北部豪雨」と命名しました。
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